This Archive : 2006年03月

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容認できない海に

doituierou大崎善生の短編、「容認できない海に、やがて君は沈む」が印象に残っていたので、もう一度読み返した。一度読んだ小説を読み返すことは滅多にないのだが。

この物語の記憶を色で表すと”青”。それは読み返してわかったのだが、タイトルの”海”だけがそう感じさせるのではない。「私はかつて、一度だけ青い血を流したことがある」という出だしと、もう一つは、父が自分の派手な生活をしていた頃を、ピカソの人生に例えて、「青の時代」と語ったことも影響していたのだと思う。

小学生の主人公かれんは、外で遊んで家に帰ったとき、休日はいつものように庭のパラソルつきのデッキチェアに座って医学書を読んでいる父を見つけた。季節は初夏。父はかれんを抱っこし、同じ目線から、家やビルに囲まれた小さなブルーの海が見えることを教えてくれた。それは三角のビキニみたいだろと。「お母さんには内緒だぞ」と。海が見えることを内緒なのか、それともビキニの形が内緒なのか。父とのちょっとした秘密になった。

その一週間後、父は家を出て外国に行ってしまい、突然の別れがやってきた。「かれんへ、父より」という走り書きがあった。「容認できない海に、やがて君は沈む。それを、」とメモは中途で終わっていた。かれんはメモの意味をどうとっていいか悩んだ。

”かれんはいつも可憐でないといけない”。自分を呪縛する父がつけた名前が嫌いだった。その年の夏の終わり、海で泳いでて溺れ、死にそうな目にあったが、奇跡的に助けられた。父の不在を悲しむ。中学高校で、かれんの自分の根底に流れていた概念は、”孤立を恐れないことの強さ”。いつもかれんは自分の心の中で孤立していた。・・・つづく
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はじめ

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